top of page

Photo: Shizune Shiigi

展覧会・トーク・朗読

セメントと手紙

2015年11月5日(木)- 22日(日)   場所: LOOP HOLE ( 東京 ) 

 

ビデオを撮る、スイッチを押す、絡まった洗濯物をほぐす、本を読む、満員電車に乗る、メールを返信する、お茶を出す、アイデアを出す、支払いをする、絵具を混ぜ合わせる、鍋をかき混ぜる、ゴミを捨てる、皿を洗う、おはようございますとお疲れさまですを言う、意見を述べる、作品を見る、解説を読む、ふとんを干す、国会中継を見る、鉛筆を走らせる、作品を作る、仕事をする、家事をする、展覧会をする。

***

作品を作る身体は、報酬に直接つながらないものも含め、たくさんの労働をします。
労働の中から作品ができるのか、作品をつくるために労働があるのか、創造はどこから始まるのか。
作品の背後にある様々な出来事、行為、会話、は作品を作ることと地続きな場合もあれば、意識的に切り離して対処している時間もあるのが正直なところです。この展覧会では、どこから制作が始まるのかに焦点をあて、労働し、思考する私たちの身体が粉々になって練り込まれたような作品をめざしました。

この企画は葉山嘉樹著「セメント樽の中の手紙」という短い小説から発想されました。
仕事中不慮の事故にて 機械に巻き込まれセメントの粉になってしまった夫。セメントの行き先を案ずる妻は、セメントとなった夫が入った樽に手紙を忍ばせます。ひとりの労働者が仕事中にその手紙を見つけ、複雑な思いで自分の労働環境や生活を振り返るという、ホラーでシュールな1926年のプロレタリア小説です。
手紙が、セメントを異様なものへと変容させ様々な事柄を浮き上がらせる、その鮮やかさをお手本に、三人がルールを設定した中で作品を作ったり、共同で制作した映像などを展示しました。

 

青空文庫(「セメント樽の中の手紙」全文)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000031/files/228_21664.html

bottom of page